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「……待てよ!」 PiPiPiPi…… 彼を掴もうとして伸ばした手が、ぼんやりと視界に入っている。 先ほどまでの風景とは違い、見慣れた部屋。 夢……か。 俺はのそのそと起き上がり、着替えを始める。 白いブレザーにチェックのネクタイ。正直趣味が悪い。 だが、高校の制服に文句を言っても仕方がないな。 着替え終わると、自室を出てリビングへ向かう。 自分で言うのもなんだが、この家は広い。父親がでかい個人病院の院長をしてるし、スーパードクターと言われていることもあり、病院はものすごい(言い方は悪いが)繁盛しているようだ。 母親は既に他界。今は再婚した義母と父親の3人で暮らしている。
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