序章 2011年

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洗顔、歯磨きを終え積んである洗濯物から無造作にシャツとセーター、ジーンズを引き抜き着替える。 最寄り駅である桜新町駅へ向かう道中、スニーカーとパンツのバランスが悪いことに気付いてテンションが下がった。 人身事故で遅れ気味の田園都市線に乗り、涼也の"大事な話"の内容について考えてみた。 鋼が死んでもう一年、今になって鋼の話をするのは考えにくい。 すると、まさか俺が今実行している呪いについて気付いているのだろうか。 可能性は最も高かった。 涼也の中で確信していなくとも疑いを持たれたら確実にバレるだろう。 嘘を見抜ける人間は敵に回すと厄介この上ない。
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