序章 2011年

4/4
前へ
/11ページ
次へ
それにしても改まって大事な話があると男に言われても何一つ嬉しくない。 そんな下らないことを考えていると渋谷に着いた。 ハチ公口を出ると、ハチ公周辺の木々に早くもイルミネーションの装飾が施されているのが視界に入る。 カップルの浮き足立つ心の様相を景色に具現化したようで憂鬱になる。 早足で人波をすり抜け、待ち合わせ場所であるドンキの横のフレッシュネスバーガーへ向かう。 店内に入り、朝食兼昼食としてサルサバーガーと7upを頼んだ。 トレイを持ち二階へ上がると文庫本を読んでいる涼也の姿が見える。 「よう」 声を掛け向かい側のイスに腰掛ける。 「久し振りだな」 文庫本から顔を上げ涼也が目尻に皺を寄せ微笑む。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加