二章 2008年 夏

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それにしても涼也も事故を目の当たりにして余裕だ。 2人といるとタメなのに自分が幼く感じられる。 それは恐らく2人とも流行などには惑わされない自分の確固たるスタイル・価値観を確立しているだろうと分析していた。 そういう人間には不思議と魅力がある、俺はその魅力に惹き付けられた1人に過ぎない。 例えそれが呪いなどという禍々しく陰湿なものでも退屈で変化のない日常を抜け出す鍵としては充分過ぎる。 だが実際"それ"を視てしまうと自分の選択について後悔しそうになった。 十数分前に俺達の乗っている車の後ろから車体を左右に揺らすように運転し、しきりに煽ってくる車がいた。
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