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僕はテンションの急激な低下を感じながらも懐から携帯(冥界からの支給品)を取り出す。
「やあやあシアン君。久しぶりだね」
「お久しぶりですヤハウェさん。いきなりどうしたんですか?僕、今仕事中でアナタと違って忙しいんですよ」
電話の相手はこの世界の管理者でもある僕の友人の神、ヤハウェさんだった。
「酷いことな言うなあ。まるで私が暇人みたいじゃないか」
「そう言ってるんですよ。で、何の用ですか?こちとら任務で忙しいんです。たいした用じゃないなら切りますよ?」
「その任務のことで話があるんだよシアン君」
ヤハウェさんの語調がふざけたようなものから僅かに真剣味を帯びたものに変わる。真面目になった証拠だ。
「単刀直入に言うと、君と今交戦中の銀髪の少年、ゼロ=ガジェットの助命をお願いしたいんだよ」
「助命?何故ですか?彼はあなたの定めた、アルフェードの掟を破ったんですよ?」
「彼、実はその国の最高戦力のうちの一人なんだよ。個人個人が大きな力を持つアルフェードにおいて、今彼を失うことはその国、いや、人間にとって大きな損害だ。今のアルフェードにとって、それは望ましくないんだよ。」
「一応筋は通っていますが……ヤハウェさんらしくありませんね。本音は?」
「彼は王道主人公の権化のような男でね、見ていてとても愉快なんだよ。なのに、使い魔召喚なんていう序盤イベントでゲームオーバーされたらつまんないだろ?」
王道主人公か…………言い得て妙だな。あの銀髪を言い表すのにそれ以上適した言葉はおそらくないだろう。
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