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僕の言葉をことごとく無視したツンデレ(仮)は僕に向かって突っ込んでくる。
その手に握られているのは細身の刺突剣、所謂レイピアだ。
僕の頭部を狙って繰り出される刺突。
何が「痛い目」だ。確実に殺す気だろう。
さて、どうしたものか。
繰り出される攻撃をかわしながらも僕は思案する。
正味の話、今ここでツンデレ(仮)を殺すのは赤子の手を捻るより容易い。
しかし、ツンデレ(仮)を殺してしまえば僕とイケメン君、もといゼロとの間には亀裂が生まれるだろう。
それでは本末転倒だ。
かといって、ツンデレ(仮)には力の差を感じ取れる程の実力はないみたいだし……
ふむ……こうなればあれをするか。策としては下策だがやむを得ないだろう。
ツンデレ(仮)の攻撃の隙を見計らって蹴り飛ばし、自らも後方に跳躍することで大きく距離をとり、呟く。
「転移」
瞬く間に視界が光に包まれ、一瞬感じる浮遊感。
戦略的撤退
それが、僕のとった行動だった。
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