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廊下をしばらく歩くと、目的の部屋が見えてくる。
僕はノックをした後、扉を開ける。
「失礼します」
「おお、シアン、やっと来おったか。待ちくたびれたぞ」
部屋の中にいたのは一人の女性。艶のある黒髪と陶器のように白い肌が特徴的な美人、僕の上司であるヘル様だ。
「早速じゃが、任務の説明に入らせてもらおう。聞き逃すでないぞ?」
「分かりました」
ヘル様はゴホン、と大きく咳払いをする。
「先程、魔法世界アルフェードに存在する、セイン魔法学園にて『禁忌召喚』が行われた」
「禁忌召喚…………たしか魔方陣を介して他種族を呼び出し、契約を交わす『使い魔召喚』を複数人で同時に行う行為でしたっけ」
「うむ、いかにも。儂は掟を破った愚か者どもを裁くため、冥界の下級兵士である死神を派遣させたのじゃが………………その死神が先程消滅したのじゃ……」
死神が消滅?死神は下級兵といえども冥界の一員、そうそうやられることはないんだけど…………
「故に、お主には死神の代行を頼みたいのじゃよ。お主の力量ならば心配は要らんからな」
「なるほど……大体は分かりました。具体的な殺戮対象は?」
「禁忌召喚を犯した三人と死神を殺した一人。また、任務の遂行を妨げる者の殺害も許可する」
「了解です。それじゃあ、転移」
僕の足元に魔方陣が展開する。
「シアン、武運を祈るぞ」
ヘル様の言葉に笑顔で応じる。
次の瞬間、魔方陣が発光し、僕の視界は光で包まれた。
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