出会いと拒絶

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  四月九日。 晴天。 今日は僕が通うことになる桜花(オウカ)高校の始業式。 式が滞りなく進み、後のホームルームは寝て過ごした。 教育方針だとか行事予定だとか、どうせそんなつまらない話だったのだろうから。 今は昼飯を食べながら、ぼーっと空を眺めている所だ。 本来 今日は午前中で終わりなのだが、正直家に帰っても何もやる事がない。 だからこうしてコンビニ弁当を屋上で、空を見上げながら食べていた。 空には結構大きめの雲が一つ、風に乗って流されている。 実にのどかである。 「雲はいいなぁ・・・。僕も雲になりてぇよ」 自由で。 気ままで。 のんびりしてて。 余計な事を考えなくて済む。 そんな雲に、僕こと、蘭 竜胆(アララギ リンドウ)は憧れを抱いていた。
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