1987年5月 雨とネオンとトライアングル

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「この子はそういうんじゃねぇよ」  低く、凄みの効いた声だった。保の迫力に、卑下た笑いをその顔に貼り付けたまま男達は思わず黙る。 「……な、なんだよ、マジになってよ。わーったよ」  そう言い、フンッと彼等はエレベーターの扉の向こうに消えた。  何故か、なんて分からない。ただ、この少女は守りたい、守らなければ。そう思ったのだ。  保の中に湧いた気持ち。その気持ちが、自分でも驚くような言葉を口から放たせていた。 †  
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