1987年5月 雨とネオンとトライアングル

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「悪いけど、お前らの汚い手垢が付いた女なんて、星児は買わないぜ」  響きの良い低い声が路地裏に響き、男達の手が止まった。 「兵藤……」  振り向いた男が舌打ちと共に吐き捨てるように呟いた。 「今ならまだセーフだ。買ってやるよ、その女」  薄暗がりの中、少女に群がる男達の背後に立つ長身の男。 「これ持ってとっとと失せろ」  兵藤と呼ばれた男は財布から札束を出して見せた。 「チッ」
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