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「猫でも落ちたりするんだ......」 「もうなんでもいいから、早くしてくれ......」 「ん?」 「......お願いします......」 「はい」 黒猫は小さな眼に涙を浮かべているように見えた。 ......ちょっと意地悪しすぎたかな。と、心の中で申し訳ないと思う。 起こしておいた自転車のカゴに拾った鞄を入れ、自転車を押した。 普段はこんな風に相手をいじるような事は言わないのになぁ。なんて、場違いな事で首をかしげながら黒猫の後を追う。
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