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目の前に、鏡。 手洗い場の上の壁に備え付けられた鏡は、縁が錆び付いていて所々濁っているが、人の顔くらいは写してくれるようだ。そこに写るのは高校の制服に身を包んだ少年の、うんざりしたような顔。 黒い髪は、細くてさらさら。 瞳も髪と同じ色。 肌は、正反対に白い。 女子と勘違いされる事も多々ある、小さな顔。 ほっそりとした首と肩。 「あー......僕だなぁ......」 見間違えたりしない僕、坂木 響 <サカキ キョウ> の姿だった。
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