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司が首をかしげていると、黒猫は体中についた血を落とそうと頭を振ったり、地面に擦り付けたりし出しはじめた。 それをしゃがんだまま見ていた司はまた首をかしげる。 黒猫のその姿は何だか急いでいるように見えたからだ。 「......猫さん、そんなに急いでいるなら体洗ってあげましょうか?」 「へ?」 ここは公園の前。 水のみ場や、公衆トイレもある。 「いや、いいよ。自分でやるから......」 司に言われて気が付いた、という感じの黒猫は、そう言うと公衆トイレに向かって走って行った。
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