~篤枝side~

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別れようと思ったのは浮気だけが原因じゃない気がした。 そんな敬一に甘えてばかりの私が嫌になったのだ。 距離を置く、 ということも考えた。 けどそれではお互いのためにならないと思った。 そのことを敬一に言ったのか、と親友に聞かれたが、言えるはずもないし、言うつもりもなかった。 きっと別れ話をにおわせたら、敬一は必死になって、私の考えていることなんか聞いてくれなくなる。 ただひたすら止めようとするだろう。 敬一に泣きつかれたら、それこそ私の決心が揺らいでしまう。 そうやって“なあなあ”にはしたくなかった。 それほど敬一を愛していたから。 敬一は優しい。 きっと今頃不可解な私の行動に悩んでいるかもしれない。 そう思うと少し胸が痛んだ。
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