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―12月31日午後10時
「佑樹ー、降りてらっしゃーい。」
一階から佑樹の部屋に声が響いてきた。
「ったよ、母さん。なんだよ?」
「そんな言い方ないでしょ?ご飯よ。」
今日の隅田家の夕食は肉じゃがだった。
「母さん。なんでよりによって今日が肉じゃがなんだよ。」
「父さんが好きだったでしょ?肉じゃが。」
隅田家の父親は一昨年の今日この世を去った。
突然の事故だったそうだ。
残されたのは、母親の幸子と高2で長男の佑樹、次男で、まだ3歳の海斗だ。
父親が死んだとき、幸子はショックでうつ病になりかけ、放心状態が続いたが最近は元気を取り戻してきている。
「今日は父さんの命日でしょ?毎年この日はコレって決めたの。さぁ、海斗がまだ向こうでテレビ見てるから連れてきて。」
「わかった。」
佑樹はその場を立ち去り海斗を呼びにいった。
「佑樹……、ごめんね……。母さん、ちゃんと頑張るから。」
幸子は佑樹が離れてから呟いた-------
「ごちとぉたまでした。!」
まだ上手く口が回っていないが、海斗は元気よくいった。
「よしっ!久しぶりに家族で遊ぼっかっ!!」
幸子が提案した。
「何して?」
「双六ゲーム!!!」
「なんで双六?」
すると、幸子は押し入れから双六を出して見せた。
「これはね、父さんとよくやったの。だから久しぶりにって思って……。いい?」
「ちょれ、海斗もやるぅ!!!!」
「わかったわよ。海斗は母さんの隣に座りなさい」
幸子は優しく海斗に行った。
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