33人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんで、目逸らすかな」
パタンと扉を閉めて、お互い向き合って開口一番、松田さんはそう言った。
「……ごめんなさい」
「いや、謝んなくてもいいんだけど」
少し困った顔を綺麗だなぁ、なんて呑気に思ってたら、不意に体中を巡った温もり。
抱き締められたのだと、今更気付く。
「少し、淋しくなっただけ」
直接耳に流れ込む甘い声音が擽ったくて、身を捩った。
「目が合うなんて思ってなくて、つい」
「ふふっ。なぁ、いつから見てた?」
「結構前から。……松田さん、モテモテだなって」
「……なに、妬いてくれたの」
直接的な言葉で確信を突かれて、照れ隠しに松田さんの背中に手を回し、ギュッと服を握る。
「それは、まぁ。……松田さんの事、す、好きですし」
これ以上ない位小さな声で呟いた僕に、松田さんは嬉しそうに笑って。
額にひとつ、キスをくれた。
「ありがと」
優しい声に聴き惚れ、綺麗な笑顔に見惚れていた僕に、松田さんは一言。
「なあ、もう一回好きって言って」
「!…二度は無理ですっ」
to de continue
・
最初のコメントを投稿しよう!