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「そ?なら、いいけど」
安心したように笑って、手元の雑誌を再び捲り始めた金田。
こういうさりげない優しさが、俺の心を少しずつ抉っていく。
明るい笑顔も優しい気遣いも、美しい容姿さえ。
全てが俺の心を切りつける刃に変わるのだ。
「金田、」
「……なに」
「俺といて、楽しい?」
勢い良く顔を上げた金田の、大きく整った瞳と自分のそれがぶつかった。
驚きと訝しさを孕んだ瞳は、やっぱり綺麗だ。
「なんだよ、急に」
「別に深い意味はないんだけど、気になったから」
本当に深い意味はない。ただ、聞いてみたくなったのだ。
「楽しいに決まってんじゃん、当たり前だろ」
珍しく真剣な面持ちで、金田はこう続けた。
「俺達、同期の前に友達でしょ」
「……そっか」
そうか。その通りだ。
俺達は、同期で友達。だけど、俺は――
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