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なんてタイミングの悪い。
案の定、その声に反応し顔を上げた松田さんと目が合ってしまった。
「……」
「……!」
瞬間。ただでさえ大きい松田さんの瞳が見開かれて。
でも直ぐに、細く緩やかにカーブを描いた。
ニコリと微笑まれてしまって、動揺した僕はつい目を逸らしてしまう。
(…うわぁ、どうしよう)
コッソリ覗いてた事がバレた恥ずかしさよりも、自分に向けられた眩しい笑顔に顔が真っ赤になる。
「横山ぁ、早く」
「あ、うん。今いく」
テンパってた所に今度はタイミング良く相方が声を掛けてくれたから、そちらに行こうと足を踏み出した、その時。
「横山」
パシッと、手首を捕まれて。恐る恐る後ろを振り向く。
「……松田、さん」
「ちょっと、いい?」
嫌、だなんて、言える訳ない。
手首を握られたまま、相方に「もう少し待ってくれ」と叫んで、松田さんを見ると無言で空き部屋に連れていかれた。
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