なぁ、もう一回好きって言って(松横)

5/5
前へ
/111ページ
次へ
「なんで、目逸らすかな」 パタンと扉を閉めて、お互い向き合って開口一番、松田さんはそう言った。 「……ごめんなさい」 「いや、謝んなくてもいいんだけど」 少し困った顔を綺麗だなぁ、なんて呑気に思ってたら、不意に体中を巡った温もり。 抱き締められたのだと、今更気付く。 「少し、淋しくなっただけ」 直接耳に流れ込む甘い声音が擽ったくて、身を捩った。 「目が合うなんて思ってなくて、つい」 「ふふっ。なぁ、いつから見てた?」 「結構前から。……松田さん、モテモテだなって」 「……なに、妬いてくれたの」 直接的な言葉で確信を突かれて、照れ隠しに松田さんの背中に手を回し、ギュッと服を握る。 「それは、まぁ。……松田さんの事、す、好きですし」 これ以上ない位小さな声で呟いた僕に、松田さんは嬉しそうに笑って。 額にひとつ、キスをくれた。 「ありがと」 優しい声に聴き惚れ、綺麗な笑顔に見惚れていた僕に、松田さんは一言。 「なあ、もう一回好きって言って」 「!…二度は無理ですっ」 to de continue ・
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加