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チラチラと盗み見た横顔は、驚くほど綺麗で。
ただ見ているだけなのに、妙に照れてしまう。
そんな状態で、集中出来る訳がない。
それを完全に見破られてしまった訳だ。
情けないやら、恥ずかしいやら。
よし!ちゃんと、ちゃんとネタを考えよう。
そう決意して再び紙に目をやった。……それなのに。
「でさぁ、ここはこんな感じ」
「……はい」
「この台詞はこんなのがいいかな、って思うんだけど」
「……それで、いいと思います」
「…………金田」
「はい…っ!」
意識しないように、と必死に相づちを打っていたら、不意に名前を呼ばれて坪倉さんの方を向いた。
すると、彼もこちらを向いていて。
綺麗な瞳とかち合った。
俺は心臓が飛び出そうな位びっくりしたのに、坪倉さんはといえば、余裕綽々で微笑みを浮かべている。
「バカ、意識しすぎ」
「なっ!?バカって!それに、い、意識なんてしてませんって」
思いっきり言い当てられて、思わずどもる。
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