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「え、あ…うん」
「池田さんは?俺の事、好き?」
「そりゃ、もちろん!」
自信を持ってそう答えると、亘は不機嫌丸出しの顔で「じゃあ」と身を乗り出す。
「じゃあなんで、何もしてくれないんですか!?」
我が家のソファーの上。
少し身を怯ます俺と、どんどん前に来る亘。
「それは…」
「それは?」
「やっぱり大切にしたいし」
「充分大切にしてもらってます」
なかなか手を出せない情けない俺に、ほとほと愛想が尽きたらしい亘の顔に、いつもの幼い笑顔がない。
「いや、あの」
「……なんですか」
「亘の事、大切にするって村健とかに約束、したし」
言い終わった瞬間、亘は盛大にため息を吐いた。
「言い付け守るとか。池田さんは、忠犬ハチ公ですか」
呆れたようにクスクス笑って、俺の首に腕を回す亘。
「!ちょ、亘っ」
「俺は壊れ物じゃないんで。多少手荒く扱ったって、平気です。」
そのまま笑い顔が近付いて、軽く触れる唇。
「…っもう、アイツらに何て言やぁいいんだよ」
「『コイツは俺んだから、指図するな!』とか?」
誰か。この意地悪く笑うどS小悪魔の攻略法を、教えて下さい。
end
初々しい恋10題 より
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