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(コカ健)
心の奥が灼けるように熱く、握りつぶされたように苦しくなる位。
コカドさんが好き、だった。
何処を、誰を見てるか判らないあの人を、愛していた。
溶けそうな程熱くなったこの心を、どうか神様。
恵みの雨で、冷ましてはくれないでしょうか。
【雨が止むまでは】
都会の片隅にポツリと佇む小さな公園。
そのまた隅に置かれたベンチに座ってひとり、大粒の雨に打たれていた。
ボーっと曇った空を見上げ、全身びしょ濡れになりながら、唯ただ愛しい人の事を思った。
留守電にメッセージを残してもう、三時間。
いつの間にか降ってきた俄雨に対応出来る傘も、手元にはない。
それでもここから離れる事が出来ないのは、きっと来てくれると、期待しているからだ。
『コカドさん。……今すぐ会いたいです。コカドさん家の近くの公園で待ってます』
来てくれるまで、ずっと。
我ながら、なんて自分勝手な台詞だろう。
まるで、脅迫電話だ。
そうまでしても、今日、どうしてもコカドさんに会いたかった。
言わなきゃいけない事があるから。
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