第2部 不自由を常と思えば不足なし

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▽▽▽ さく、と気持ちの良い軽い音を立てる足元。 ひらり、と真新しい紅葉が落ち、少しくすんだ紅葉に被さる。 銀杏の葉は今にもどっさり落ちそう。 細い枝も気にせず焦げ茶色のリスが、二匹で絡まりながら走っている。 「ヒマリ君」 透明感のある総司さんの声。 秋の乾いた風に乗って、私の背中に届いた。 「足跡がこちらに続いていました」 振り向きながら、下へと指をさす。 「過去形なのは…」 次は太いブナの木の上へと指をさす。 「マルヒ発見しました」 幹と枝の間に追っていた犯人が隠れてしがみついていた。 ぎょっとした顔を見せたスリの犯人が、 さらに上へと登ろうとする。 登っても辿り着くのは空なのに。 「投降して下さーい」 手を口の横に当てて大きな声で促す。 「俺は絶対に降りねえ!」 「なんだありゃ…猿の真似か?」 「…熊かも」 総司さんの後に続いて木村さんと塚本さんも木の上部へと仰ぐ。 熊との発言に、申し訳ないけど笑ってしまう。 塚本さん目線だと痩せているあの人も熊に見えるのかな。 「早く降りないと危険ですよー! 降りて下さい!」 再度促すが、降りる気配は無い。 本当に危ないから、何度かお願いしてみる。 「志村君」 「了解っす!」 迷いもない総司さんの声に、志村さんの声が弾む。 その志村さんの肩には、擲弾筒が構えられていた。 .
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