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違うのか…。
そう言えば…飴屋の娘さんは総司さんに文を渡していた。
器量良しで隊士からも人気がある。
籠屋のお嬢さんも総司さんに頬を染めて食事に誘っていたから、きっと本に載っていた『ほの字』という現象だろう。
籠屋の親分さんも総司さんを気に入っていたから、お婿さんにもなれそう。
「…たぶん、今考えていることも無駄なことですよ。
と言いますか、先程から心の声が漏れています」
総司さんが呆れたような声色で指摘する。
あ…違うんですね。
「あっ!」
思わず手を叩く。
絶対的な自信があるからだ。
「松本先生の娘さんのユキさんですね!
よく源さんとお話ししているから…」
「絶対にあり得ません」
まだ力説していたのに、総司さんのきっぱりした言葉に切られてしまった。
そんな、ユキさんともお似合いなのに。
総司さんはため息をつきながら腰に手を当てて振り返った。
煩かった…かな。
「すみません、余計な詮索をして」
「……」
しゅんと小さくなる。
総司さんの色恋の話をしたことが無かったから、浮かれてしまっていたような、知りたかったような。
よく分からない落ち着かない気持ちを落ち着かせたかったのもある。
「…よく見てくれているんですね」
怒られることはなく、総司さんは挑発するように顔を近づけてきた。
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