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嬉しそうな意地悪っぽい口元の笑み。
「そ、それは…同室ですし」
「それから?」
また顔が近づく。
「た、隊長ですし」
「はい、それから?」
ち、近すぎ!
「…たくさんお世話にもなっていますし」
「他には?」
うう…鼻が…鼻が触れそう!
「えっと……総司さんは…格好良くて素敵で強くて…目を惹きますから」
もう…勘弁して下さい。
両手で顔を押さえて、総司さんの綺麗な顔を視覚からも遮断する。
目を惹くんですよ、そのお顔は!
自覚してください!
真っ赤になって顔を押さえていたが、総司さんは何も返さない。
また見当外れとか呆れられているのかと、そっと指の間から総司さんを見ると…。
「……っ!」
総司さんは私よりも真っ赤じゃないかと思えるくらい、耳まで赤く染めて、口を片手で覆っていた。
「どうしました?
気に障ること言いましたか?」
見たこともない総司さんの反応に焦る。
赤くなったまま総司さんは、覆っていない方の手を私へ伸ばし…。
「ぎゃう!」
手刀を私の頭に落とした。
痛い…。
何で…。
ああ、私が気に障ること言ったからか。
それとも素敵な理由が具体的じゃなかったからかな。
「無駄話していないで早く帰りますよ」
「はい…」
涙を堪えて頭を摩ると、大股で総司さんは既に歩き出していた。
でも二、三歩のところで立ち止まり、横顔だけを私に向けた。
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