第2部 不自由を常と思えば不足なし

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「貴女の子供はきっと…素直で泣き虫で、何事にも一生懸命に取り組む、可愛い子供でしょうね」 優しい、優しい未来の予言。 総司さんは優しい笑みを浮かべていた。 私の…子供? …それって…。 「前に土方副長にも言われました。 私の子供はそれは可愛いだろうな…と」 そうそう、確かあの時…って、恥ずかしい思い出だ! 思い出しながら言った私には、総司さんの笑顔が氷ついたことに気づかなかった。 「私が子供っぽいから、皆さんそう言われるのでしょうか…って、あれ? 総司さん、どうしました?」 自分なりの考えに基づいて結論を出した私の目前で、総司さんが静かに燃えていた。 それはそれは、冷たい美しい笑みを浮かべて。 「へえ、土方さんが? どういう状況で、どうして言われたのですか?」 「ど、どうして総司さんに…」 「職務質問ですよ、さあ早く答えなさい」 「職質は部下に聞いても意味が…」 「答えない限り、帰しませんよ。 虚偽も許しませんからね、最も貴女は嘘がつけませんが」 「いえ、勤務中ですからまだ帰りま…」 「公務執行妨害適用させますよ?」 「公務というより公私混同…」 「答えられないなら土方さんに聞きますが、宜しいですか?」 「それは、ちょっと…」 総司さん…。 真面目に尋問出来るのに、どうしてそれを今使うんですか? 仕事中にその力を発揮して下さい。 .
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