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「…おい、黙って入って見下ろしているんじゃねえよ。
てめえは礼儀も知らねえガキか」
「ああ、すみません。
土方さんの頭頂部を見ていました。
ハゲないかなって」
無言で土方さんの部屋に入り、机の前に難しい顔で鎮座する土方さんを見下して…見下ろしていると、痺れを切らしたようで噛みつかれました。
「ハゲてねえよ、アホが!」
「違いますよ、お願いごとです。
どうかハゲて下さいって」
「そっちの方が質が悪い!
俺はハゲの家系じゃねえからハゲない!」
おや、そう言いながらも頭を触っているではないですか。
もう三十路ですもんね、机に向かう時間が長いと身体も折り返し地点ですかね。
「俺は来年三十で、今はまだ二十代だ。
皆して三十路扱いしやがって」
「聞こえてましたか。
誰も土方さんを年寄り扱いしていませんよ。
若いなぁと感心さえしています」
既に仕事なんて手も付けずに、土方さんがほう?と顎を上げる。
ふふ、これで今日も仕事が遅延します。
私から売られた喧嘩は、何だかんだと言いながら買ってしまう性分。
試衛館時代から負けず嫌いは変わっていませんね。
しばらく徹夜するが良いでしょう。
「随分と食いかかるな、え?
発散する場所がなくて俺に八つ当たりか?」
ほら、大人げない。
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