第2部 不自由を常と思えば不足なし

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▽▽▽ 「永倉隊長、お時間良いですか?」 朝食の後、ぱっつぁんと廊下を歩いていると後ろからヒマリが呼び止めた。 ぱっつぁんは今の今まで下ネタを言っていたとは思えない爽やかな笑顔で振り返った。 うわ、退くって。 「逢い引きの誘いか?」 「いえ、借りていた本をお返しします。 ありがとうございました」 「だって、平助怒るなよ」 ぱっつぁんの冗談に、じとっと視線を送っていると、ぺこりと頭を下げて、ヒマリが本を前に出した。 怒ってないけど、地味な用件に安心したのは否めない。 ぱっつぁんの部屋に色々な種類の本があるけど、興味なくて詳しく見たことなかった。 「役に立った?」 「はい、勉強になりました。 まだまだ、奥深くて理解するのに時間がかかりました」 「そうだろ、俺も未だに分からないことが多くてさ。 だからこそ、どの形でも面白いって言うか」 ふーん、専門書か何かかな。 ヒマリが借りたなら、俺も共通の話題を作るのに借りようかな…。 「永倉隊長でもそうなんですか…」 「意外に見える?」 「はい、とても大人で原田隊長とも玄人のような発言をされていますので」 ぱっつぁんと左之が大人? あり得ない話だけに気になるんだけど。 .
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