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「玄人つーのは土方さんや近藤さんのことだぞ。
俺なんてまだまだ。
だが、松に大人に見られているなら嬉しいかな。
下巻も借りる?」
「はい、是非」
にっこりと花の咲いた笑顔のヒマリに、ぱっつぁんは格好つけている。
一体どんな本なの?とぱっつぁんの手元を見て固まった。
「『恋と愛の四十八手』……」
上巻。
「平助も見るか?」
震える俺にぱっつぁんのニヤニヤした顔がむかつく。
「何てものをヒマリに貸しているんだよ!」
「だから『恋と愛の…』」
「名前じゃなくて!
四十…八手だよ!?」
だから、ニヤニヤは止めて!
ヒマリもそんな…そんな本を…。
カアアと赤くなるのが分かるくらいに、言っていて恥ずかしくなった。
「私が永倉隊長に貸して欲しいと頼んだんです。
今まで何も知らない、分からないと学ぼうとしなかったので、少しでも応えたくて」
ちょ、待っ!
興味あるの?
四十八手に?
誰と?
ヒマリから…するの!?
「松、違うぜ。
学ぶものじゃなくて、感じるものだ」
「そうなんですね…。
私、頑張ります!」
感じる…頑張る…。
駄目だって、駄目だってば!
言葉にならない叫びで、口がパクパクと動くだけ。
そんな、俺のヒマリが…。
『平助さん、私…平助さんを気持ち良くさせたい』
『待って、ヒマリ。
そんなに動いたら…っ!』
そんなことになったら…。
妖艶なヒマリも…。
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