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「よーし、他の学生も井上を見習うように!
私も久々に燃えてきた…!
ビシバシ行くぞ!」
熱血ですが、他の学生が迷惑するだけで私には関係ありません。
永倉さんの恨めしそうな目線を横に感じながら、私は再び窓の外を眺める。
本当なら廊下に立たされてその隙にヒマリ君を探しに…と思っていたのですが、上手くいきませんでした。
心配させて、探して、呑気にしているヒマリ君に腹を立てて、勝手に安心して…。
怒った私にヒマリ君は黙って側にいて、時々話しかけては笑って。
私の稽古にぶつくさ言いながらも付き合って、甘味を食べるのを優しい笑みで見つめてて。
寝相の悪いヒマリ君に布団をかけ直しながら、そっと触れて自分でも顔が緩むのが分かって…。
もう、それも終わりです。
終わりに、しました。
「井上、次の休みに六甲山を登りに行くか?」
講義が終わった時に、教官に意気揚々と声を掛けられる。
私はにっこり笑って「それはいいですね」と返事をする。
次の休みには、ここを去っていますから。
安心して嘘が言えます。
嘘は…得意ですから。
他の学生がスパルタ講義のせいでぐったりしている教室に、陸奥さんのヒマリ君が入って来ました。
「手代木、もう大丈夫か?
陸奥はこのまま教官室に来い」
「はいはいっと…」
戸惑いを浮かべつつ、連行されるのは陸奥さんだけで心配なのか。
彼らを見送りながら、眉を下げるヒマリ君の目の下は赤い。
あんなただの数日を過ごした陸奥さんの前で泣くんですか。
私の前では、泣かなかったのに。
素知らぬ振りをしてしてはらわた煮え繰り返る…まではいきませんが、ムッとしてしまう。
「ヒナ、具合悪くて養護室に行っていたんだろ」
廊下に出たヒマリ君に、永倉さんがそっと近寄って耳元で何かを囁く。
ヒマリ君は顔を上げた後に、「でも…」と言葉を詰まらせた。
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