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唇に吸い寄せられてまう。
「そこまでだ。
それ以上してみろ。
切り離された自分の胴体を見ることになるぞ」
ひやりと首筋に触れる、鋭利な殺意。
俺はあと少しのところで、唇に触れるっちゅうとこで、目だけを刀を握る人物に向けた。
「一君は…知っとったんやな」
冗談の欠片もない、一君の目。
握られた刀も、仲間であろうが構わないと、微塵も震えてへん。
「ちょっとだけやん、気の迷いやって」
だからあえて、笑って冗談にして返す。
本気で自分のもんにしたろ思てたなんて言うてみ、容赦なく刀をひかれてんで。
「…」
それ以上俺が何もしいひんと察してくれたようで、無言で刀を仕舞う。
はぁ。助かったわ。
命も助かったし、松田の操も助かったわ。
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