調度良い目眩ましだ※

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松田の、はだけた着物を重ねてやる。 ごめんな、ずるいことしたわ。 一君、かなり怒ってんなぁ。 早よ刀を仕舞ったように、重圧も仕舞ってや。 「どういうことだ?」 「松田を探っとんのは知ってたやろ? そんで、たまたま昼寝しよったから、薬飲ませて…」 「襲おうとしたのか」 「ちゃうって! さらししとるから、おかしい思うてな、外してみたら…女やってん」 でも、襲ったようになったのは、申し訳ないことしたって自分でも反省してるんやで。 肩と首を落とす俺に、一君はため息をついて警戒を解いた。 「交換条件だ」 うん、言いたいことは分かる。 「このことを言わへん代わりに、松田が女やちゅーことをばらすな。 そやろ?」 「分かっているなら話は早い」 そう言うと、松田の側にしゃがみよって、俺から奪うように横に抱き上げた。 「反省しているなら、もういいだろう。 じきに人が来る、早く山崎も立て」 一君、恩にきるわ。 .
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