男なら拳骨で通れ

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気がついたら、布団で寝ていた。 布団、たんす、座机、行灯。 必要最低限のものしか置いてない室内は、見覚えがない。 まさかと思って自分の胸元を見るが、さらしは巻いたままだし、何かされた様子もない。 一先ず安心。 頭がぼーっとして、うまく働かない。 障子からは夕焼けらしき紅の光が透けている。 夕焼け、じゃなくて朝焼けだったらどうしよう。 すると、人影が映る。 枕元に刀があることを咄嗟に確認するが、殺気を感じられないし体もだるさがあり、身構えるだけ。 「目が覚めたか」 静かに襖を開けたのは、隊服に身を包んだ斎藤隊長だった。 「あの、私…」 「神社の境内で見つけた」 また静かに襖を閉めて、座った姿勢でいる私と目を合わせるために、あぐらをかいてくれた。 .
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