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不機嫌な総司さんは術式の狼の頭に触れ、術を解くと、喜びを隠せずに戸惑う三浦さんを一瞥した。
「たかが雑魚の一匹。
ですが、皆を…ヒマリ君を助けたことは評価しても良いでしょう」
ムッとしたなかにも、ほんの少しだけの柔らかさがあった。
総司さんが認めてくれた、それが彼にとって泣くほど嬉しいことは、三浦さんを見ていて手に取るように分かった。
用心棒の方達の介抱をしていた斎藤隊長も、涙を溜める三浦さんへ頷いてみせた。
「強くなれたな、三浦」
「俺…」
「何を言っとる!」
と、ここで怒鳴るは佐久間先生。
また三浦さんの成長の邪魔をするのかと思いきや、顔を真っ赤にさせ、三浦さんを腕に抱き寄せた。
「格二郎は…生まれながらに強くて立派なわしの自慢の息子だ!!」
ぎゅっと、ゴツい顔をシワシワにして、三浦さんを包む。
「そこの山猿達と違って、皆を守る…優しい優しい侍だ」
息子が無事で良かったって、全身で言っている。
言葉は相変わらず失礼なところもあるけど、照れ隠しなんだろう。
佐久間先生の熱い抱擁に、目頭が熱くなった。
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