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踏み込みはほぼ同時。
低い姿勢から狙われる脇腹。
私も脇を狙った中段からの攻撃。
互いに察知し軌道を変えて、刀を重ねる。
なるほど、鍔競り合いをする反動を利用して振り子のように空かさず反撃ときました。
低い重心、バネのような足腰。
となれば、最初は動きを封じるのが先かと迷うところですが。
速さなら私も負けていません。
彦斎から第二、第三と斬り込まれるのを避けながら、敢えて踏み込み重心を揺らがせる。
やりにくそうに眉を寄せる彦斎に、思わず口元が緩む。
人が嫌がることをして喜ぶような性癖はありませんよ。
貴方がどんな動きをしようと、私はそれを幾通りも先を読むだけ。
私は近藤さんについて新撰組を立ち上げた時…今でも笑い話にできないような死闘を数え切れない程に経験しました。
私だって、死を覚悟したことはあります。
でもだからこそ、生きなければならないと強く思えた。
そんな死を受け入れているような顔をした貴方に負けるはずはありません。
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