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中学3年生。 それは中学校生活において最後の年を指す。 同時に人生における大きな選択を強いられる年でもある。 「で、進学と就職。どっちにするんだ」 「分かりません」 担任との個人面談。 生徒たちが、やれ帰るやら部活やらに行き急ぐなか第2会議室に案内された私。投げ掛けられた質問に嘘偽りなく答えれば、それでなくとも皺だらけの担任の顔に一層皺が寄った。 「自分の事なんだから、もっとよく考えろ。やりたい事とかないのか?」 「だから分からないんです」 やりたい事なんて分からない。強いていうなら今すぐ此処から抜け出してしまいたい。グラウンドから聞こえる野球部の掛け声に耳を傾け、そう思った。 「……なら俺は進学を推奨しておく。たくさんの事を学んでいる内にやりたい事も見つかるだろ。…浜校なんてどうだ?」 一つ溜め息を吐いたと思えば、言われた言葉。 結局、私は先生の思う通りに進まされるのだろうか。浜校なんて此処いらでは名の通った名門校だ。恐らく自分の受け持ったクラスから優秀な生徒を出したいのだろう。 「浜校は…きついです。先生も私の学力知ってるでしょう」 「ちょっとは努力をだな………いや、何でもない。今日はもう帰っていいぞ」 ががが、と音をさせながら担任は椅子から立ち上がる。顔には呆れと諦めの色が鈍く鮮やかに彩られていた。
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