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「香奈ちゃんはどうするの?」 苦し紛れとも言えよう。とっさに自分から香奈ちゃんへと視点を移した。 「あたしは進学する。やっぱ学べるなら学んどきたいしね。てか女子高生になりたいから!」 そうやって笑う彼女はどこか眩しく、私は意味もなく目を細めた。恐らく私は彼女に劣等感を抱いているのだろう。 香奈ちゃんには目標がある。どんなに些細な事でも目指しているものがあるのだ。 そして私にはそれがない。 突き刺された事実を目の当たりにして、胸がぐちゃぐちゃに抉られた気分になった。不快だ。 といってもこの不快な気分は誰かの故意によって作り上げられたものではなくて、所詮は私の独り歩きのようなもの。 どうする事も出来ない。ただただ思いを溜め込んで、いつか爆発するその日に蓄えておく。蓄えても意味なんて皆無に等しいのだけれど。爆発したら大変な事になる、それだけだろう。他人にとっては何とも傍迷惑な話だ。 「まあ、あたしもそろそろ部活に戻るわ。ばいばい」 私のいつもと違うような雰囲気に気づいたのか否か。どちらかなんて分からないが香奈ちゃんは部活へと戻っていった。 そういえば香奈ちゃんは何部に入っているのだろう。 ふとした疑問が私を襲う。ユニフォームのようなものを身に纏っていた事から、運動部だという事は予想出来る。 「…………どうでもいっか」 そうだ、香奈ちゃんが何部に所属しているのか。なんて事よりも私にはもっと考えなければならない事があるのだ。 どうでもいい。 私には関係ない。 そうやって沸いて出た疑問に蓋をし、私はその場から歩き出した。 「山野!」 窓の向こうから厭に引き伸ばされた怒声が聞こえる。特に気にはならなかったため視線を向ける事はなかったが、その怒声は暫くの間、私の耳に住み着いて離れてくれなかった。
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