幸せだった頃

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「もうすぐで俺ら三年は引退だな。」 「そうだな。」 夏の大会で結果を出せなければ、三年生は引退。 後は自分の進路の事で必死になるだろう。 「お前、進路どうするんだ?まだ親に話してないのか?」 「あんな屑やろうが親だなんて思いたくねえよ。」 「まあ、確かにヒドい所もあるけど、そんな風に言うなよ。お前にとってはたった1人の家族なんだから。」 「そうだけど・・・・。」 俺は家族と呼べる存在は父親しかいない。 母親や他の家族はいない。 原因は殺されてしまったからだ。 この父親に。 父親が会社をリストラされ、生きる気力なくし心中しようとしたらしい。 俺は殺されそうになったところを姉に助けられた。 幸い周りが住宅街だったために、近所の人が異変に気付いてすぐに警察を呼んでくれたが、生き残ったのは俺と父親だけだった。 この事件が起きたのは俺が中学に入ったばかりの頃だった。 当然、父親は逮捕された。残った俺は両親の貯金と親戚の助けを借りて生活している。
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