幸せだった頃

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「それより圭一、お前瀬倉さんとはどうなってるんだ?」 「・・・・別に。」 「オイオイ、そんなんで大丈夫か?」 「けど、仕方ないだろ。こっちだって色々あるんだよ。」 「まあ、お前のヘタレ具合は知ってるけどな。」 黒田が呆れたような目で見てくる。 「ヘタレって言うな!だいたい告白するのに、ヘタレなにもあるかよ。」 そう、俺は瀬倉が好きだ。たぶん1年の頃からずっと。だからといって、特別なことは何一つできていない。告白なんてもってのほかだ。 「ハイハイ、―――っと。」 そこで黒田が何かに気付いたように自転車をまたいだ。 「それじゃ、あちらさんも来たみたいだし、嫉妬されないうちに帰るかな」 「・・・・・・・・・。」 「頼むから何か言えよ。」 「ハイハイ、じゃあな。」 「じゃあなー。」 そう言って黒田は帰って言った。
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