椿鬼─ﾂﾊﾞｷ─

転校

「おい転校生、自己紹介しろ」

香川の言葉で、ハッと我に返るあたし。

「あっ……えっと、神崎美愛です。

よろしくお願いします」

そう言って、あたしはぺこりと頭を下げた。

その途端に、教室中の男子生徒からヒューヒューと野次が飛ぶ。

「うっせぇんだよクソガキ。

神崎の席は……空いてるとこに適当に座れ」

いやいやいや、ちょ、適当すぎるでしょ。

ってか生徒をクソガキ呼ばわりって、教育上どうなの……？

そう思ったけどさすがに口には出せずに、あたしは大人しく空いてる席を探して座った。