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みんなのオススメの喫茶店はオシャレで可愛らしい雰囲気だった。
「あ、椿ー!こっちこっち」
奥のテーブルから葉月が顔を出して手を振った。
「椿ちゃん何食べる?オレのオススメはー……」
「バナナタルトなんかより苺タルトの方がおいしいよ!」
「は?お前バナナタルト馬鹿にすんなよ!?」
「ティラミス…おいしい、よ?」
「お前らうるせーよ」
みんなの声が頭に入ってこない。さっきの……お父さんの言葉が消えない。
『………』
「椿?」
『え!?あ、ごめん。なんだっけ』
私は精一杯笑い顔を作った。
「ぼーっとしてるし……なんかあった?」
『いや、その……』
「こいつさっきから貧血気味なんだよ。」
秋人が助け舟をだしてくれた。
「そうなの!?だから遅れて来たのか」
「大、丈夫?帰…る?」
『本当に大丈夫だから』
みんな心配して帰っていいと言ってくれたけど大丈夫と言って、いることにした。
千景は鋭いからいま帰っても様子がおかしいことにきっと気づかれる。
少し落ち着いてから帰らないと……
「じゃあそろそろ帰りますか!」
結局私はボーッとしたままだった。
みんなに気を遣わせちゃっただろうな……
そんな事を思いながら外に出ると少し離れた所に千景の車があるのが見えた。
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