7.悪夢の始まり

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「飯作るから先に風呂入ってこい」 『うん』 『はぁ…』 私はいつものように浴槽の端で小さくなった。 お父さん、なんも変わってなかった。あの私を見る冷たい目も。感情のこもってない話し方も… あの頃となんにも… 『……っ』 もう出よう!一人でじっとしてると余計な事考えちゃう。 いつも通り千景はご飯を作って待っていた。 『いただきます』 「おう」 そしてまた無言…… き、気まずい 『えっと…あ、これ美味しいね……っ!?』 千景が私の顔をじっと見ていた。 『な、何?』 「なんかあった?」 『…なんかって?』 「いや、ないならいいけど……あるんならちゃんと言えよ。心配だから。」 『…っ』 どうして気づくかな。 優しくされたら言いたくなる。 助けてって言いたい。 そしたらきっと千景は受け止めようとしてくれる。 でも… でもきっと無理。 私の全てを知ったらきっと離れてく。 それに私にはまだなんかあるみたいだし…。 嫌われたくないから、言えない。 『大丈夫。なんもないよ。』 言えないよ……
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