8.消えない傷痕

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私は声のした方を見た。 『っ!?』 そこには私がいた。 いや、私と全く同じ容姿をした女の子がいた。 『だ、誰…』 (誰?見てわかんない?私は椿だよ。) でも目の前にいる私は大人びていて…怖かった。 私は後ずさった。 目の前の私はゆっくりと私に向かって歩いてくる。 (お前さぁ、幸せになれると思ったの?甘いよ。そう簡単になれるわけないじゃん。) 『や、来ないで…』 私達の距離は少しずつ狭まってきている。 (千景と一緒ならどんなことでもなんとかなる?馬鹿じゃないの?その千景をお前が傷付けてるのにさ。) 千景が傷付いてる? 私のせいで…… (千景だけじゃない、お父さんもお母さんもそして…私も) やめて。それ以上聞きたくない。 (みんなみんなお前のせいで苦しんでるんだ。お前が何もかも忘れてるせいでね。) いや (最近のお前は自分のしたことも忘れて幸せそうだったね。) やめて (お前が……) 言わないで (お前が――を―――したのに。) 『ごめ、なさ…』 ごめんなさい ごめんなさい 『誰、か…』 誰か 千景…… 『……助けて』 「椿!!!!」 その声で私は目を覚ました。
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