8.消えない傷痕

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~千景Side~ シュルッ 俺はネクタイを外してスーツを脱いだ。 「……はぁ」 なんだって椿の友達、しかも男を家にあげなきゃいけないんだよ。 あんな目で見られたら断れねぇし…… 椿も簡単にあげるなんていいやがって。 ………俺、心狭いのかな。 でも椿今朝より少し元気になってたな………よかった。 俺は着替えてリビングに向かった。 ドアを開けるとそこには黒川君が一人でいた。 「あれ、椿は?」 「なんかお茶持ってくるって言ってどっか行きましたけど………」 「げっ」 あいつ、あれだけキッチン入るなっつったのに! 俺はすぐキッチンに向かおうとした。 「あの」 そこで呼び止められた。 「少し話、あるんすけど……いいですか?」 「あ、ああ」 なんだ? 「あんた……ちゃんと椿のこと幸せにできてるんですか?」 「は?」 いきなりなんだ? 「俺には、今の椿が幸せそうには見えません。いつも何かに追い詰められてるような顔で、無理して笑って。」 「…っ」 そんなこと、俺が1番よくわかってるさ。
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