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~千景Side~
シュルッ
俺はネクタイを外してスーツを脱いだ。
「……はぁ」
なんだって椿の友達、しかも男を家にあげなきゃいけないんだよ。
あんな目で見られたら断れねぇし……
椿も簡単にあげるなんていいやがって。
………俺、心狭いのかな。
でも椿今朝より少し元気になってたな………よかった。
俺は着替えてリビングに向かった。
ドアを開けるとそこには黒川君が一人でいた。
「あれ、椿は?」
「なんかお茶持ってくるって言ってどっか行きましたけど………」
「げっ」
あいつ、あれだけキッチン入るなっつったのに!
俺はすぐキッチンに向かおうとした。
「あの」
そこで呼び止められた。
「少し話、あるんすけど……いいですか?」
「あ、ああ」
なんだ?
「あんた……ちゃんと椿のこと幸せにできてるんですか?」
「は?」
いきなりなんだ?
「俺には、今の椿が幸せそうには見えません。いつも何かに追い詰められてるような顔で、無理して笑って。」
「…っ」
そんなこと、俺が1番よくわかってるさ。
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