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私は学校へ向かう車のなかで今朝千景に渡されたケータイを眺めていた。
何かあった時、帰りが遅くなる時にすぐ連絡出来るように……らしい。
『今日家出るの早くない?』
「あぁ、ちょっと洋にな。いつもの時間だと生徒が多いから。前みたいに囲まれるのは御免だ。」
『あー…』
私も学校で質問攻めにあうのかな……やだな。
従兄弟って言おうかな…
「言っとくけど」
『え?』
「今更叔父だ従兄弟だってごまかすなよ。」
『………』
コイツは人の心でも読めるのか?
「返事は?」
『へーい』
私は気づかれないように小さくため息をついた。
千景と私は来客用の駐車場に車を止めて学校へ入った。
そしたらちょうど理事長を見つけた。
『理事長!』
「ん?あ、椿ちゃん!早いねー。というか理事長とか堅いから普通に洋って呼んでよ。」
「洋。俺のこと見えてるか?」
「え?チカ君いたの?」
「マジでムカつくなお前……」
ヤバい。このままじゃ言い合いの巻き添えになる。早く退散しよう。
『あの~。私教室行くから』
「おう。じゃあな。」
『あ!今日から迎えいらないからね!』
「わかってる」
『じゃね!』
「じゃね!」
「待てコラ。何お前まで行こうとしてんだよ。話がある。」
「ちぇ~。ま、いいや。チカ君から話そうだなんてめったにないし。椿ちゃんの話だろうけど。」
「正解だ」
「理事長室でいい?」
「ああ」
「じゃ、移動しようか。」
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