15年前の愛の幸せと苦悩

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子供がいた。 『連絡は携帯にしてね』 そう言われていた。 そしてその意味が分かった。 三人の子供と本当の年齢は32歳。 旦那とは俺と知り合う前に別れて、離婚調停中に行方不明に。 借金を背負わされたと言う。 3年間気付かなかった。 彼女からそれを告白さた時、気持ちの整理がつかなかった。 お金に困っていると言うので、自分の会社の上司に頼み関連会社のパートとして、彼女を紹介した。 愛する人のその事実に戸惑う自分がいた。 しかし本当に苦しんでいたのは彼女だろう。 好きになればなる程、言えなくなる哀しさ。 いつかは分かってしまう真実。 その気持ちになかなか答えられない自分が歯痒かった。 それでも、別れはしなかった。 子供と一緒に遊んだりもした。 どこか楽しい自分がいた。 どこか冷たい自分がいた。 その頃、言う程経済力のない俺は直接的に金銭面での援助は難しかった。 お互いの心が少しずつ離れていくのが分かった。 お金は愛の形を変えようとしていた。
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