第一夜

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枯れた樹の上で飯を食べながら一人で曇った空を見上げる。別に何ら代わりもない日常、何ら代わりもない風景。 何ら代わりもない、紅と荒んだ色の風景。 温暖化が進んでたまに酸性の雨が容赦なく降り注ぎ、人間もそれで骨になったりしてしまう。だから自分は本当の植物の色を見たことない。 緑だ。と正確に答える人間も誰一人いやしない。そんな中で、雨が―酸性雨が降らないといい。なんて平和染みた馬鹿な考えを持っていた。 敵の気配がして後ろに銃を向けると敵の顔も見ずに乾いた音を響かせる。血の色が濃くなり、近くにいた敵の気配が濃くなった。数はかなり多い。前からも後ろからもやってくる。 さっきのは囮か。と考えると肩を竦めた。 「…あーあ、可哀想に。」 それが、今日始めて発した一言であろう。久しぶりに声を出したからかからからと掠れていた。
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