第一夜

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それからと言うものの自分は感情を表に出さなくなり、ただロボットのように殺戮殲滅を繰り返していた。 はぁ、と溜め息を吐き出して目を開けると変わらぬ曇り空。変わらぬ風景。 此処にいたら不味いかね、なんて考えつつ今の自分には特にする事もなく、ましてや狙われてもいないので心配する事は何も無い。 人の温もりなんて全く覚えていない。父母までもすっからかんだ。もしかしたらもう死んでいる可能性もあるし、或いは戦線を離脱して何かしらやっている可能性もある。名前しか覚えておらず、自分を産んだ時に見せた筈の笑顔―又は憎悪の顔さえ覚えていない。 何て親不孝な奴なんだ、と言われがちではあるが仕方ない。八歳の時、他人の命より自分の命をとった日から自分の命だけは護らなければならないと感じたから。 まあ、くだらないと言ってしまえば其処までなんだけれども。
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