第一夜

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ピシャッ、なんて血が飛ぶ音と一緒に自分の服も紅くなった。はぁ、と溜め息を吐きながらも気にしない。気にしていたらそれまでだ。と思っているから。 「…頭蓋骨狙ったのは失敗だった。」 服に頭蓋骨の破片がつき、黒かった服は紅くペイントされている。これ以上この事は考えていても別に良いことが起きる訳でもないからそのままスルーして自分は歩いていく。 欠伸を洩らした時。人の気配がして足を止めた。確かに気配はするのに、見つからない。何事か気になって辺りを見渡すと、男の姿が見えた。 歳は同じ位、と言った所か。銃を持って微笑みながら自分に近づいてくる。 その姿を認めた瞬間、これ程にないくらいぞっとした寒気が身体を駆け巡る。風邪な筈はない。あの注射を受けてから風邪を引いた事は無いのだから。 じゃあ、この寒気の正体は一体、何だ? 身体の全てがその姿を拒否し、自分は動けなくなっている。
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