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シノンはアイリスに全幅の信頼を寄せている
人格、戦術、腕
どれを取っても彼女は高いレベルにあるからだ
「敵が戦闘区域に入りました
戦闘開始ですね……」
雪に覆われた山岳
決して視界は良くない
輸送用の搬入口の上で待機する二機
シノンは右腕に保持した大口径の砲を展開
同時に四つ脚を大きく広げ、後ろ脚のパイルバンカーを地面に突き刺した
スナイパーキャノンと呼ばれている装備
ロック機構は無く、機体のFCSとキャノンのスコープをリンクさせ手動で照準をつける為、高い熟練が必要になるこの武器をシノンは好き好んで使っていた
「敵機散開
正面からタンク型来ます」
視界の悪い中、散開する敵機
人海作戦の様ではある
シノンはうっすらと微笑んだ
「Goodnight」
囁かれる声
スナイパーキャノンの引き金が引かれ、120mmはあろうかという砲弾が高速で射出される
索敵中であった敵は不意な攻撃に反応できず、コアに直撃
大きく後ろに飛ぶ
「命中
良い腕ですシノン
コアの破損を確認できました」
立て続けに三発
同じ様にコアを抉り、タンク型は煙を噴かし炎に包まれた
「タンク型沈黙
左から敵がタンクに寄ってます
11時の方向」
「オーライッ」
即座に少し左に銃口を向けると、華奢な二脚の機体がタンク型に向かっていた
「機動力優先か」
照準は敵機のコアを捉えた
T時の線が敵機を刻む
狙撃手からの死刑宣告ーーはなたれた高速弾は敵のコアを貫いた
「四機目は2時の山の後ろ
少し待って」
いつの間にやら隣にはアイリスの機体がない
代わりに山に「フィーリング」とマーキングされた
即座に戦闘中なのだと悟るシノン
マーキングを凝視する
藍色の機体が山間を軽やかに飛び跳ねながら目の前の獲物に襲い掛かる
その動きには、限り無く無駄がなく射撃のタイミングが分かりきっているかのように微妙に起動を逸らし、ギリギリのラインで攻め立てた
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